学生時代のほとんどを、かかとを潰したスタンスミスや、ナイキ、アディダスのスニーカーで過ごした自分が、ああこれからもう社会人になるんだ、と思ったら、なんだか急にきちんとした革靴を買いたくなったのである。
当時、市内のリーガルショップは現在とは別の場所にあって、定価で16,000円(ぐらい)だったと思う。
(この記事は、一昨日リーガルショップで偶然に前の部署の上司に会い、お互いにリーガル愛用者だったのね!みたいな心の邂逅があったので書いてみた・・・K局長の靴カッコいいっすね!)
当時は消費税導入間もない頃で、外税表示がデフォルト、税率が3%の時代である。
正直、高いなー、と思った。
その後、何足か、それほど高くない靴を買い足し、ローテーションしながら、10年近く履いただろうか、そのあとは、大体、8k~10k円前後のセメンテッドの靴ばかり購入していた。
ローテーションの中でもグッドイヤーウェルトの靴はそのリーガルだけだったので抜群の包まれ感とカッチリした履き心地で、ヘビロテ気味だったような気がする。
写真は、そのうち、デザインのタイプが全く異なる3足。
■ジャクソンビル
写真左がジャクソンビルのプレーントゥ25.0cm。製法は後述するがちょっと謎い。ブラッチャー(外羽根)でアッパーはガラスレザー、ソールもヒールも硬質ラバー。ウィズは表記がないもののおそらく2E。ハードオフで汚れて1Kぐらい(1,200円!)で売っていたのを購入。
まず、このジャクソンビルは不思議な靴である。見た目はグッドイヤーウェルテッドにしか見えないのだが、新品の値段を調べてもそこまで高級靴ではない。
そして、履き心地が硬い、というか超硬い。
基本「コツコツ」音のする靴は大好きなのだが、そのコツコツの衝撃まで足裏に響くのは嫌い。
グッドイヤーウェルトなら中敷にコルクなどが多めに入り、包まれるような堅牢感と適度なクッション性があるはずなのだが、この靴は中敷きが何も入っていないのかと思うほど路面の硬さがダイレクトに伝わる。
サイズはほぼジャストサイズで捨て寸はわずかにあるだけ。そして、グッドイヤーではないので今後の沈み込みは期待できない。ということはインソールを入れる隙間が出来ないということ。履き心地を改善できないのは残念である。
ただ、購入時こそ汚れていたが、ソールとヒールの減り具合からは、前の持ち主はそれほど履いてないようである。おそらくサイズが合わないか履き心地の硬さで手放したんじゃないかと思える。
雨の日用にガラスレザーの靴を物色していたら偶然ハードオフに。
購入後、気合い入れてワックスで鏡面磨きに挑戦。汚れてたのは単に手入れしていなかっただけと判明、1,200円の靴とは思えないほどいい感じに仕上がった。
写真真ん中がリーガルのストレートチップ04KR、25.0cm。内羽根のセミブローグ。アッパーは牛革でけっこうきめ細かい。ラバーソール。ウィズは2E。20Kぐらい。
このリーガルは手持ちのうち2番めのお気に入りである。パーフォレーション、メダリオンなどの装飾がこれでもか、というほど入っている。こういう押しの強い靴も一足持ってないと。
派手目だが内羽根なのでフォーマル用途にも案外いける。
革質もまあまあで手入れのしがいがある。
ただ、サイズ選びに失敗し、ハーフサイズ大きかった。
ので、先日リーガルショップで純正の革製インソールを入れて調整してもらった。
グッドイヤーウェルトだがエアーローテーションモデルのため、他のリーガルより明らかにクッション多めの履き心地のところに、さらにインソールを入れたので、ふんわり気味である。NA2504プレーントゥのような締まったカッチリした履き心地とは違うがこれはこれで有りかなと思う。
トゥを鏡面磨きしようと1、2度ほど挑戦しているが、メダリオンと革質に阻まれ、いまだ成功していない(泣)。
■バーウィック
一番のお気に入りは写真右のバーウィック、プレーントゥD3011、UK6.5。ブラッチャーでアッパーがキップ、底はダイナイトソール(イギリスの有名な硬質ゴム)。ウィズはEなのだがかなり細め。20Kぐらい。
ネットでも話題だが確かにこの値段でこの革質は素晴らしい。
手入れをしていって経年の変化を楽しむのに最適である。ガラスレザーやエナメルは表面だけが光ってるのがいかにも安っぽいのだが、本当に質の良い革製品の光沢は、このバーウィックのように「芯から」「内側から」「しっとりと」光ってくるといった印象。
サイズ感は、ほぼリーガルと一緒なのだが、
この2者の関係は 「リーガルの24.5 ≒ バーウィックの6.5」 である。
(多分、この書き方が買う人にとって一番参考になると思う)
写真には写っていない手持ちのリーガル2504NAの24.5cmとの比較によるものではあるが。
toskaniniの足のサイズは実寸25.2cmなのだが、リーガルの24.5cmとバーウィックのUK6.5が履いた時の捨て寸がほぼ同じになる。もっと詳しく言うと、どちらも購入時に捨て寸が少しだけある状態で、10~20回程度履きなじんでコルクが沈んだときに適切な捨て寸(1~1.5cm程度)になるぐらい。
ただし、厳密には、リーガルの公式HPにはモデルごとのサイズ感の表記があるため、
リーガルのサイズ感「標準」のモデルとバーウィックの細身ラスト117のモデルとの比較に限って、24.5cm≒UK6.5が帰納法的に確認できたと言えるだけなので、誤解のないように。
注意が必要なのは、例えばバーウィックの同じ型番の同じサイズUK6.5の靴が、ショップによって、UK6.5(24.5cm)、UK6.5(25.0cm)、UK6.5(25.5cm)など表記がバラバラだったりするので、これにあまり惑わされない方が良い。
もちろんラスト(木型)にもよるので、親切なショップだと靴AをUK6.5(24.5cm)と表示し、靴BではUK6.5(25.0cm)と現物を実寸した上で表記をわざと変えたりもしているのだが、その親切心がかえって消費者を混乱させている可能性もなくはないと思う。
また、ネットの商品レビューなどで両者をサイズ比較して、「リーガルもバーウィックも同様に大きめなので、リーガルで普段25.0cmの人はバーウィックも25.0cmで大丈夫です」みたいな記述がたまにあるが、バーウィックのサイズ表記にそもそも25.0cmなんてありませんから(笑)。
頼むからこれ以上混乱させないでほしい。
もちろん、これは長さだけの話で、ウィズと甲高はラスト(木型)にもよるので一概には言えない。
ちなみに所有のこの2足ではウィズは異なるので比較できないが、toskaniniはリーガルの2Eだと少しゆるくて、バーウィックのEだとあきらかにきつめ(痛いほどではない)である。
甲の高さの方は、バーウィックがかなり甲高との情報もあったので、内羽根は危険かな?と思い、最初の1足目は外羽根で様子見してみた。これが正解で、長さがちょうどいいのに外羽根がかなり閉まるので、多分、リーガルよりは甲高設計。同じラストの内羽根靴だとフルクローズしても履き口に隙間ができてしまうかも。
今回は、色気のある靴が欲しかったので、あえて細身のラスト「117」にしたのだが、もし、またバーウィックを買うなら、次はオーソドックスなラスト「19」のモデルから選ぶと思う。
さて、三足の右だけを並べてみた。
形が全く違うのがよく分かる。そして大きさも。
真上なので、履いてる本人からはこう見えてる、というショットなのだが革靴趣味なんぞ所詮自己満足の範疇に入るのでこの見え方が実はとても大事(笑)なのである。
リーガルはイギリス紳士然している真面目クンだがでかい(長い)。
バーウィックは細くてエロい。お前はキザ男だな、きっと。
ジャクソンビルはずんぐりしている。アメリカンなおおらかさ(笑)か。
なので・・・
左:リーガル = ブリティッシュトラディショナル
中:バーウィック = スパニシエクラシコ(とんがり靴のイタリアノクラシコをもじってみた)
右:ジャクソンビル = アメリカントラディショナル
としてみた。
紹介した3足以外の2足のうち1足はリーガルの2504で修理中、もう一足はセダークレストのセメンテッドなので、これの買い替えを予定しているが、次に購入するとすれば・・・
持ってないものということで、ど定番かつ最フォーマルな位置付けの内羽根ストレートチップ、または一枚革を贅沢に使い製作するホールカットプレーントゥのどちらか。
メーカーについては、実質リーガルの靴を製造している靴工場のブランドであるショーンハイトに最近興味がある。
最近、帰宅後は、その日一日働いてくれた革靴を、軽くブラッシングし、シューキーパーを入れて下駄箱にしまっている。月に一度は手間暇かけてクリームとワックスで靴磨きに勤しんでいる。手入れそのものも楽しいし、加えて愛用品の革が経年変化で美しく変わっていく様を愉しめるなんて贅沢な趣味である。
おっと、金がそれなりにかかっているので「道楽」分類だろうか。
いずれにせよ、心にゆとりができた証だろう。
いいことである。
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革靴4(リーガルの2235と2585、その違いは)
革靴3(ショーンハイト、リーガルのサイズ感など)
革靴2(バーウィックのラスト「19」と「117」の違いについて)
革靴1(バーウィックとリーガルのサイズ感について)
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よくわかります。3足の比較。知識と経験、それに愛情を感じます。
返信削除革靴に対するこだわりや、同じ感覚を持っていると思いました。
うれしくなりました。
Unknownさんコメントありがとうございます。
返信削除同じ感覚、私にも経験あります。ブログ読んでて「わかる、わかるよ、そのとおり!(笑)」みたいな。
これからも、お互い、がんばって靴みがきしましょうね。