No.18 ダイハツ ソニカ 買っちゃった ～モノづくり雑感１～

（追記　2017.9.17）
オヤジ系道楽ブログの全記事中、最もアクセスが多いのが、この「ソニカ」購入記。
趣味性の極めて高い密かな名車・人気車である証だろう。
もう手元にはないのだが、思い出した大事なことが一つ。これからソニカオーナーを目指す人向けのマニアックネタを紹介したい。
ソニカは普通に運転すると１速から６速まで自動でシフトアップ・ダウンしてくれる。そりゃ当たり前である、オートマ車なんだから。
だがソニカは実は『７速』なのだ！
シフトノブを右ゲートに入れてマニュアルモードにすると・・・隠された（ホントは誰も隠してないが）超ハイギヤードな７速が使用可能となるのだ。
オートマモードだとインパネのギヤ表示が「D」のままで何速なのかの表示はないのに加え、速度をそれなりに出しても、自動ではなぜか７速にシフトアップしない。
マニュアルモードだときちんと数字で何速なのかを表示してくれるのだが、スポーツ走行では５，６，７のハイギヤはまず使わないので、７速があることに気づきにくい。
恥ずかしながらtoskaniniはしばらくの間「ソニカって６速」だと思ってた（笑）
まさか軽自動車にそこまでの多段変速機構が付いてるわけない、という思い込みもあったのだろう。
つくづくソニカって面白い車である。
（以上追記終了）


通勤用の車が７年目にして・・・いや、故障もなくすこぶる快調なのだが、無性にスポーツカーに乗りたくなって、車を買い替えることに。

いやー、検討に時間をかけたね。今回は。
テーマは、「大人のスポーツカー、超コンパクトプレミアム。」みたいな。

ネットでレビューやインプレッションを調べまくって、決めたのは「ダイハツ　ソニカ」。お約束のように絶版車である。

時代に抗らうかのような採算度外視、コストなんてはなっから考えていない、ある意味、バブル期のモノづくりを彷彿させるような潔さがそこにある。やってくれたなダイハツさんよ！みたいな。



グレードはRS-リミテッド。初年度登録はH18.11月のマイナーチェンジ後の後期型＝最終型。ツインカム インタークーラーターボエンジン（64ps/6,000rpm 10.5kg・m/3,000rpm）　で破壊的な心臓部を有しているにかかわらずリッター23km/lの超低燃費。
軽自動車なのにリアにスタビライザー（トーションビーム）までおごられている。軽自動車のリアにスタビライザーだよ、普通ならありえないから。
フロントシートはあの「セルシオ」とまったく同じものをサイズダウン化。
MOMOの本革ステアリング、燃費計算可能な簡易クルーズコンピューターを標準で装備。７速CVTトランスミッションはゲート式でマニュアルモード付き、スポーツモード可能でまるでポルシェのティプトロニックのよう。かなり爽快なスポーツ走行が可能。
ギア比は100km巡航で約2,800回転なのでクルーズ重視のツアラー型、まさに世界中探しても唯一無二のコンパクトＧＴ（グランドツーリング）カーなのである。

しかし、悲しいかな、これだけのスペックは当然に高価格が必然であり、それゆえ、並みのリッターカー、普通車より高価となり、売れなかったわけで、マーケティング的には失敗車なのだろうと思う。

ただし、乗ってみると分かるが、軽自動車という規格の中では、それこそ破格、別次元の性能を誇る車であることは間違いない。
出足こそ鋭くないが、これは、バブル期の車に良く見られたような意図的に１速をローギヤードにして出足の加速を鋭く感じられるような味付け（演出）をしていないということでもある。経験上、アクセルを１０％踏めばパワーが１０％出るという車がもっとも安心してストレスなく乗れるわけで、そういう意味ではソニカはとても素直でまじめに設計されていることが分かる。

安心して乗れて、ストレスなく、速い。加えて燃費もすこぶるいい。これが、率直なソニカの評価である。個人的には世界遺産に推薦したいぐらい（少しおおげさか）
これまで、幾多のスポーツカーを乗ってきたtskがそう感じるのだから。（前の前に乗っていたTOYOTAのSW-20なんかよりはるかにスポーティで速い）

特にエコランに徹するわけでもなくごくごく普通に遠乗りして、平均燃費計の表示で19km/lぐらい。ネットでのレビューを見ると実際より1～2km/lほど高めに表示されるらしいが、それでも十分に高いエネルギー消費効率である。

シフトをマニュアルモードにして田舎の農道で加速テストしてみたら、軽量ボディとターボエンジンの組み合わせのおかげか強烈な加速が堪能できた。（ひさびさに背中がシートに押し付けられる加速Ｇを体感した）

tskは「コスト度外視のモノづくり」に惹かれる。
言い換えれば「いいモノには金を惜しまない」主義である。なぜなら、いいモノが高価なのは至極当たり前のことでマルクス経済学の「労働価値論」を紐解くまでもなく、真理である。
「いいモノを安く手に入れた！」という満足感など幻想にすぎない。「100円以上出さないと買えないものを50円で買うことができた」という行為は、冷静に考えればしょせん「売り手が50円で売ってもいいやと思うレベルのものを50円で買った」だけのことである。

設計者や製造者が、純粋にいいモノを作ることにだけ注力していた時代がわが国にも確かにあった。

バブルの頃のモノづくり現場は、「いかにいいモノを作るかがすべてだ。他社よりいいパーツ、良い技術はないのか？。コスト？、んなもの気にするな！。うなるほど金持ってるヤツならわんさかいる。他社がひれ伏すようなテッペン獲れるモノ作ることだけ考えてろ！！」みたいな状況だったと、高校の先輩で有名家電メーカーの研究職に就職（オーディオ開発部に在籍）した先輩がバブル崩壊後しばらくして（笑）自嘲気味に教えてくれた。

パソコンは、最新のモノが最高性能である。これは疑いない事実である。
では、オーディオ機器はどうか。残念ながら、最新のものが最高のモノではないことは周知の事実である。最高のモノに比べ95%の性能を発揮するモノが70%の値段で売っているような時代なのである。「ほとんど同じ」能力を発揮するモノをいかに安く提供するかを各社が競い合っており、この市場モデルだと競争が繰り返された結果、損益分岐点まで価格は下落し続け、市場にあふれる商品の性能が大きく下がることがお分かりいただけるだろう。

だからこそ、そういうコスト至上主義が支配するこの国のモノづくりの現場から、ソニカのようにどこのメーカーも考え付かない、「軽でグランドツーリング」とか、「ハイトワゴンが馬鹿売れしている時代に地を這うフォルム」とか、「リッターカーに伍するプレミアム軽」の車を作ろうとするダイハツという会社にエールを送りたくなるのである。
（前の車もダイハツのミラジーノだったが、７年間一度も故障しなかった！！　すばらしいぞダイハツ！）

長く、愛着を持って乗っていきたいと思う。プチ改造も今後いろいろ予定しているので定期的にインプレッションをしていきたい。ローリングキッズのような運転をする気はさらさらない。しかし、４０代のオヤジがたまに峠を疾走してもいいじゃないか。

ソニカはそんなことを思わせてくれるのである。

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