2008年8月2日

No.7 手のひらの上の小宇宙 ~機械式腕時計の魅力~

機械式腕時計は「掌上の小宇宙」とも呼ばれる。
ある意味納得のできる表現かと。


クオーツ時計は確かに基本的にメインテナンスフリーだし、扱いにさほどの注意も要さないし、使用する条件も選ばないし、とにかくいろんな意味で動作が極めて安定しているのである。


1996年製 オリエント手巻き式
限定品のmon biju


2011年製 セイコー機械式ダイバーズ
通称「オレンジモンスター」


2002年製 オメガ コンステレーション
オヤジ好みのバブル仕様(笑)な18金とステンレスのコンビモデル


1972年製 キングセイコー(通称「56KS」)
※詳細は別途記事にて


2017年製 ケンテックス マリンマンシーホースⅡ
※詳細は別途記事にて

機械式時計は、違うのである。
定期的なオーバーホールは必要だわ、ぜんまいの残り具合で微妙に進みや遅れに違いが出るわ、腕から外して1日~2日おくといつの間にか止まってるし、姿勢差なんて誤差もあるわでとにかく手がかかるのである。

ところがである。
クオーツはカチ、カチと1秒ごとに時を刻むが、実は針が動くとき以外はメカニズム的に「静止」状態にあるわけで、与えられた仕事を冷徹に処理するだけみたいなとこが気に入らないと言えば気に入らない。

生命の鼓動のような脈動はそこに感じられない。あくまでマシンそのもの。

一方の機械式は、内部でゼンマイがゆっくりとほどけながらテンプやルビー製の軸に支えられた数多くの歯車が絶えず縦横無尽で複雑な動きをし続けているのである。一生懸命さがひしひしと感じられるのだ。

メカニズム的に静止することがないため「生きている時計」と称されることもある。
バックスケルトンから覗くその輪列の動きは、さながら太陽系の惑星たちの公転運動のよう。(ちなみに自動巻だとローターでいまいち見えにくい。手巻きがもっともムーブメントの美しさを堪能できる!)

オフィスデイこそ一番手前のグランドセイコー(SBGT-001クオーツ)を使うことが多いが、手がかかる子どもがかわいいのと同じで、休日は、オメガコンステレーション(クロノメーター)、1972年製のキングセイコーなどを腕に付けることにしてる。


腕時計には、時を知る実用品という側面と、男が身に着けることを許された数少ない宝飾品という二面性があると思う。


とするならば、どんな時も変わらず同じ腕時計で・・・、というのはおのずと無理がある。
最低でもオンとオフの2本、贅沢を言えばシチュエーションやTPO、その日の気分に合わせて腕時計を選べると良い。
決して誰に見せびらかすわけでもないが、40代以降の大人の嗜み、と勝手に思っている。

ビジネスはまじめなGSと。
礼装なら端正なKSと。
休日のドライブは華やかなコンステと。
鉱物採集や沢登りには信頼のケンテックスと。
サーフィンには無骨なオレモンと。

腕に巻く相棒には最も輝ける場面がきっとあるはず、ずっとそう思っている。


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