2020年1月11日

No.64 国産鉱物5 美しい蛍光鉱物をなんとか自分で採集できないか?!

今回のトレジャーハントのターゲットは蛍光鉱物である。

蛍光鉱物は本当に綺麗だ。
「蛍光鉱物」でググるとそれはもう美しい画像がたくさん表示される。

画像も良いが、実は自分の手元で紫外線を当てて蛍光を観察するとその何倍も感嘆することができる。
いつでも「蛍光萌え」状態になることができるのだ(笑)
その美しさに魅せられ、最初の一個を入手すると、必ず次の一個が欲しくなるという魅惑のアイテム。








国内のみならず、海外にも熱烈なコレクターが多く(むしろ本場は海外、その中でも中心はアメリカ)、とりわけ複数色の蛍光鉱物を表面に持つ標本(colorの数が最高で5色とも6色とも)は世界でも限られた鉱山からしか見つかっておらず、そうした石は驚くほどの高額で取引されているらしい。
なんと、一見何の変哲もない石ころが車1台買えるぐらいすることもあるとか。
かつ、そうした有名鉱山はすでに閉山(絶産)していることも多く、今後、価値が上がることはあっても下がることはない「お宝」である。
残念ながら、わが国では、そういうコレクターの投機の対象となる蛍光鉱物は産出しないようである。
最も有名な産地は、アメリカ。次いでグリーンランド、カナダあたりか。


toskaniniもこれまで、財布と相談しつつ少しずつ買いそろえてきたのだが、まだまだビギナーである。
紫外線ライトは波長365nm(UV-A)で可視光線カットのタイプ(1万円ぐらい)を使用している。
365nmだと直接に目や皮膚に照射しないかぎり危険ではないが念のため防護眼鏡(UV400)を使用することにしている(ダイソーの100円伊達眼鏡が大活躍!)
いつかは短波紫外線のライトを購入したい。
写真にほこりが写っているがそこは無視してほしい(笑)

ハックマナイト(アフガニスタン産)
2colors

燃えるように強烈なオレンジの蛍光。方ソーダ石(ソーダライト)の変種で代表的な蛍光鉱物である。どこが変種かと言うと紫外線を吸収し、数分で淡いパープルピンクに変化するところ。水色に蛍光する部分もあるが鉱物名は不明。

コランダム(インド産)
1color

全体が赤く蛍光しているように見えるが、地のフックサイトにびっしり細かいルビー(コランダム)の粒が付いており、そのルビーが深紅に蛍光している。

ソーダライト、ハックマナイト、アフガナイト(アフガニスタン産)
3colors

ラピスラズリは昼光下だとラズライトの濃い青地にパイライト(黄鉄鉱)の金色の粒が星空のように見える美しい人気鉱物だが、ソーダライトが噛んでいると紫外線照射でイエローの蛍光ペンのように鮮やかに発色する。点々と噛んでいる部分は瑠璃色の星空のごとき様相である。なお、青地のラズライト自体は蛍光しない。
また、写真では分からないが、一部オレンジに蛍光する部分はハックマナイトと思う。
そして地が所々スカイブルー色に蛍光する部分が何か所かあり、アフガナイトの蛍光色はオレンジ系が多いが不透明で白い場合は水色の蛍光を示すこともあるので一応仮置き(笑)の鉱物名ということで。
手持ちの蛍光鉱物で最高の3色(^^♪

ウィレマイト、カルサイト(アメリカ産)
2colors

緑に蛍光しているのがウィレマイト(珪亜鉛鉱)で赤ピンクがカルサイト(方解石)である。複数色蛍光で色の対比が美しい。
色相環上では赤と緑は真向かいに位置するからコントラストは最高レベルとなる。
購入時付属のカードには上記2種類の鉱物名しか記載がないが、赤ピンクだけではなく一部にもう1種類赤橙色の鉱物が混じっているような気がしており3colorsでは?とも思うが確認できず残念。

と、ここで、蛍光鉱物はミネラルショップで購入するしか入手手段はないのかと思っていたが、「蛍光メノウ」なる言葉を見かけたので、それまで見向きもしなかったカルセドニー(玉髄)やアゲート(瑪瑙=メノウ)探しに取り組んでみた。

そしたら、福島県産メノウが綺麗にしかも強めに青白く蛍光することが判明した。

アゲート(メノウ)(福島県産)
1color









単色ながら強めの蛍光で色合いもなかなか幻想的である。メノウの場合、玉髄以外の部分は蛍光しないので、模様が浮かび上がるのもまた魅力の一つである。
自分でゲットした蛍光鉱物に夜な夜な紫外線を当ててニンマリする楽しさはたまらない。

一方で、メノウならどれも蛍光するのかと思いきや、宮城県産メノウはまったく蛍光しないから不思議である。
玉髄は水晶と交じり合って産出することがとても多い(ほとんどと言ってもいい)のだが、水晶部分は蛍光せずに玉髄部分だけが蛍光することと何か関係がありそうである。

それから、花崗岩の蛍光である。地元の福島県伊達市は全国でも有数の花崗岩の産地である。有名なブランド石材(「吾妻みかげ」など)をいくつも持っている。
なにせ、福島県の県土の1/3ぐらいを占める阿武隈山地そのものが花崗岩でできているわけだから当たり前である。
この花崗岩類(すべてではない)が放射線を放出していることは割合広く知られており鉱物マニア的には一応常識レベルである。

福島原発事故後に、九州のある人が御影石の歩道に線量計を直置きして「凄い高線量!、フクシマの放射能がここまで飛散してる!とんでもない!くぁwせdrftgyふじこふじこ・・・」みたいな投稿をして、「無知とは怖いな」とか「一生墓参り行けないね、この人」とか「そうか、こういう人がこういう風に風評被害を生み出すんだな」とか「バカは信じちゃうんだろうなこれ」とか当時、大炎上していたのを思い出す。

ちなみに、我が国の花崗岩類の放射線量については日本地質学会の以下のコラムに詳しい。
放射線量が高い山陽から畿央にかけての花崗岩類が東北の花崗岩より強く蛍光するのか、いつか確かめてみたい気がする。

http://www.geosociety.jp/faq/content0313.html

花崗岩類は地元だと阿武隈山地に源流を持つ河川なら、基本、どの河川でも拾うことができるが、以下の仮説を立てて標本選別をしてみた。

1 火成岩のうち、斑状組織の火山岩よりは等粒状組織の深成岩の方がより蛍光を観察しやすいはず。
2 長石(斜長石、カリ長石)に含まれる放射性物質由来で蛍光するのだから、深成岩のうち無色鉱物が多い花崗岩、せん緑岩、斑れい岩の順に蛍光を観察しやすいはず。
3 表面が風化していない新鮮な破断面ほど蛍光が観察しやすいはず。

で、河原にて拾って、割って、紫外線当てて、を繰り返して最も良く蛍光する標本を見つけた。

グラナイト(花崗岩)(福島県産)
1color

長石部分が青紫に蛍光する。
予想通り表面の茶色に風化した外殻部分はほとんど蛍光しない。写真では分かりにくいが暗闇だとかなり強めに青紫色の蛍光を示す。
(この石の撮影が最も難しい。もともと紫の撮影が苦手なデジカメの宿命で、スマホではこれが限界。)

色々な標本で試したが、蛍光するのは長石部分のみで、石英、黒雲母、黄銅鉱などの部分はまったく蛍光しない。

かといって、ありふれた長石だけの石が蛍光するか調べたが、長石だけではまったく蛍光しないので放射性物質を含むこととなる花崗岩の生成メカニズムが蛍光の秘密に深く関係しているようである。

どこででも拾える花崗岩類の岩石だが、そのどれもが綺麗に蛍光発色するわけではなく、良標本はこれからも探し続けたい。

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1 件のコメント:

  1. はじめまして!よい勉強になりました。私も韓国で直接採集しているお石で、ブラックUVへ光っています。お石は、色々混じっている、中の成分は、F、Ca,Na,P,K,Al,Feなどが入っています。斜長石、閃緑岩、方ソーダ系列だとは思っています。
    https://ameblo.jp/uvlitestone/entry-12744588021.html
    https://ameblo.jp/uvlitestone/entry-12744588583.html

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