2019年8月24日

No.58 国産鉱物1 ヒスイハンター!と化す俺 ~ 念願の糸魚川ヒスイを拾いに行ってきた

少し遅めのお盆休みを取って日曜日~月曜日にかけて1泊2日で新潟県糸魚川市にヒスイ採取の旅に行ってきた。


AM3:30、ナビに一般道を使った最短ルートを検索させていざ出発!
目的地は「ヒスイ海岸(押上海岸)」
(最短距離だと「六十里越ルート」。ドライバー泣かせの険しい峠・・・

朝もやの只見川


峠のマイガンダム

十日町~上越市を過ぎてあとは海沿いに延びるR8をひたすら走るだけ。もうサイコーである。


■とにかくフォッサマグナ帯からは多種多様な石が産出し一見ヒスイと見紛うようなきれいな緑色の石も多数落ちてることから、事前に今回のターゲットをおさらいしてみる。

○狙いはヒスイのみ
(「ヒスイ輝石」や「オンファス輝石」をたっぷり含む岩石を探したい。また「コスモクロア輝石」を含む岩石が見付かればさらにうれしいかも)
○白っぽい石
(ヒスイ輝石の標準色は純白)
○かつ、手にとった時大きさの割にズシッと重い石
(ヒスイ輝石は他の石に比べ比重が大きい)
○かつ、丸くなっていない石
(ヒスイは硬いので川ずれ海ずれしない。むしろ三角や平行面を持つ形状)
○かつ、表面に「味の素」みたいな結晶が見える石
(「輝石」の典型的な特徴)
○かつ、乾いても「とろり」とした表面質感を持つ石
(乾くと白っぽくなるのはヒスイではない)

プロのヒスイハンター曰く
「コツなどない。1秒でも長く浜辺を探すことだ」とのことなので拾える可能性のある場所でなるべく多くの探索時間を確保するようにしたい

さあ がんばるぞ!

■採取その1  ヒスイ海岸(日曜10:30から11:30)
新潟県の押上海岸である。
出発してちょうど7時間で到着。休む間もなく、早速小石が広がるヒスイ海岸へ・・・と思ったが
晴れてるのに風があるからか、波が高かった~
波打ち際に近づけず収穫なし

■採取その2  須沢海岸(日曜12:00~14:00)
波打ち際をさがすも、これぞといった石は見つからず

■採取その3  親不知ピアパーク(日曜14:10~15:30)
収穫なしだったが、ここは海水浴場に道の駅が併設されていて、何人もの地元の方が露店でヒスイの原石を売っているが、その値段の高いこと高いこと!

きれいな緑色が交じる小石が数千円~こぶし大以上でウン万円~十数万円!、ほとんど見かけなかったが色が緑より希少な紫系や青系だとさらにそれ以上。
逆に千円とか2千円程度で買える石はグレーが主でわずかに緑の部分が交じるようなものばかり。よほどの金満家じゃないと買わないんじゃないかと思う。
でも、買う人がいるからこの値付けで売る人がいるんだろうな(商売が成立するんだろうな)と思うと複雑な気持ちである。

ある露天のおばちゃんには「どうだったい? ビーチで拾えなかったでしょ?。もうほとんど地元でも拾えなくなってるから希少価値で高くなってるの。買うなら今だよ。これからもっと高くなるから」って言われた。

数ある露店のなかで最も良心的な値付け(笑)のおじいちゃんから偽ヒスイの見分け方を実物を見せてもらいながら詳しくレクチャーを受けられた。(でも買わなくてごめんね)
やはり実物を見ることはものすごく勉強になる。
もうこれだけでいくつでも拾えそうな気がしてきた!

■採取その4  親不知観光ホテル下の海岸(15:45~17:00)


波が荒くごく狭い範囲での採取となった。当然収穫なし

■一日目終了
宿にてまったり、日本海の海の恵みに舌鼓を打つ!
親不知観光ホテルさんにお世話になりました。夕食と朝食とてもうまかったのでアプしちゃう

夕食は・・・


朝食は・・・

ごちそうさまなのでした。
さて、きょうもがんばるぞ!

■採取その5  親不知ピアパーク(月曜9:00~9:45)
平日なので昨日と違ってヒスイ拾いをしている人はほとんどいない。波打ち際を探すもやっぱり拾えないどころか、それらしき石すら一つも落ちていない。
このあたりでなにかが根本的に間違っているのでは?という不安がよぎる・・・

■採取その6  ラベンダービーチ(月曜9:50~12:00)
セブンイレブンから入る細い道を運良く見つけ青海川河口に広がるラベンダービーチへ。運が良ければ姫川系とは違ったタイプのヒスイが拾えるらしい。
場所としてはラベンダービーチの看板からは結構距離があるので、「ラベンダービーチの隣の海岸」が正しいかもしれない。

波打ち際を歩いて探していたら、宮城から来ていた教員を定年退官された年配の方と仲良くなっていろいろ話を聞いた。
遺跡めぐりが趣味で出土物としてのヒスイの美しさがキッカケでアマチュアヒスイハンターとなり、今では年に1回程度3泊ぐらいで拾いに来てるそう。

「ここらの人たちは競うように夜明けから早朝にかけてみんな浜でヒスイ拾いするんだわ、その日に浜に打ち上げられたヒスイは全部地元の人たちが採っちゃうんだわな。その後に拾いにくる観光客に拾えるわけがないよ」

「だから俺は基本海は朝イチだけにして、日中は地元の人でも拾いきれないほど石が転がっている河原で拾うんだわ。ほら、これが今朝の夜明けごろに浜で拾ったヤツ。決して落ちてないわけじゃないのよ」
といって、淡い紫のラベンダーヒスイの小石を見せてくれた。

ショックである。
日焼けで痛む腕をさすりながら、急激に絶望感と徒労感にとらわれるtoskaniniであった。

だが諦めてなるものかと気を取り直して、今の話を参考に、テトラポットの陰や大きな石のすき間、玉砂利の天地返しなど地元の人が見逃したことを期待しての石探しスタイルに急遽変更したら・・・しばらくして、ん・・・



ゲット~ 人生初ヒスイ!
淡い緑がかった三角すい形の白い小石 3.3cm×2.3cm×1.7cmぐらい。
表面に結晶も見えるし肌触りがとろんとしている。
白色LED光がヒスイを通すとアップルグリーンの透過色に変わるのもいい感じである。
とにかく感動、これだけで今回の旅の目的は果たせたかなと。

その後、テトラポットの陰も一通り見終わったので、ゴムサンダルに履き替え、波が荒いので、さらわれないように注意しながら少し波打ち際の奥まで探しながら歩いていたら、さらにヒスイをゲット!
あまりきれいな色ではないが特徴をすべて満たす典型的なヒスイである。(写真は最後に)

早朝に大部分は地元の人達に拾われてしまうんだろうけど、見逃しもそれなりあるはずで、拾えるかどうかは結局のところ運次第なのでは?という気がする。

■採取その7  姫川下流部の河原(月曜12:15~13:15)
河原って長靴がないと案外行動が制約されるので狭い範囲しか探せなかった。収穫なし。

■帰路のこと
13:15頃糸魚川市を出てR8を北上。帰りは夜にかかりそうだったので六十理越えは無理と判断。上越~三条~五泉~R49の会津経由ルートでやはり一般道で帰ったのだが・・・
出発してすぐに大雨に・・・新潟県全域に大雨注意報が発令されたようで、こうなると前に一台でも慎重運転する車がいるとガクッとペースダウンし40km台でダラダラと延々と走ることとなった。
五泉に着いたころが19:00頃、そこから会津若松経由、猪苗代の「来夢」でしょっぱいチャーシューがたっぷりのった喜多方チャーシュー麺で栄養補給をして土湯峠へ・・・




しかし、今度はトンネルをでたところで濃霧が、それも2~3メートル先も見通せないほどの「特濃」な濃霧。ロービームで時速20km未満でタラタラと走るしかなかった。
結局自宅着は23:00頃。
10時間ずっと雨や霧の中を走り続けて疲労困憊である。
いくらtoskaniniが運転好きでも今回の帰路は苦痛以外の何物でもなかった。
疲れすぎてスピードが出せなくなる(集中力がなくなってくるため一定のペースが保てなくなる)のも初めて体験した。

■結果の総括
○思った以上にヒスイは落ちていない。(見逃しているだけかもしれないが・・・)また、緑色の石は大量に落ちているがそれがヒスイであることはまずない。今回はたまたまツイていてヒスイが拾えただけで、次はボウズということも十分に有り得る。
○白い石にとらわれるあまり、黒ヒスイは探せない(視界に入ったとしても意識していないので気付けない)
○海岸の波打ち際は確率を上げるなら早朝を狙う必要がある。
○海岸なら日中はむしろ波打ち際以外(テトラや大石の陰等)にチャンスがあるのではないか。
○河原は河原への降り口を見つけるのが大変。加えて、長靴かウェダー必須。
○いろいろ教えてくれた親切な露天のおじいちゃんによれば、彼の売り物のほとんどは川(河原と川の水中)で採ったものだそうである。「川は地元を知らない人には無理。観光客は海岸で拾うしかないけど実際に拾うのはよほど運に恵まれないと難しいかな」だそうである。
なんて正直なコメント!

なので、また糸魚川市へ行くか?と言われれば正直悩むところ。
運転の苦労、宿代、ガソリン代、食事代。それら経費と労力が報われるヒスイ入手の可能性とを天秤にかけると・・・???

今回の旅、最終的な成果は以下の2個ゲットとなった。

ヒスイ(アップルグリーン)
3.3cm×2.3cm×1.7cm

昼光では全般に上品なごく淡い緑がかったきれいな白。石全体がほぼ光を透過しその色はアップルグリーン。
とろんとした質感で手触りも良く超萌える。

ヒスイ(灰色~ごく淡い緑)
4.7cm×3.0cm×2.9cm

昼光ではグレーで表面に味の素状の結晶が目立つ。不透明な見た目でとろんとした表面質感。光の透過は部分的で一部に薄いグリーンの透過光が見れる。

アクチノライト(透緑閃石) 
3.3cm×3.0cm×1.8cm

ヒスイほどではないが、そこそこの値で取引されている透緑閃石。一瞬、オンファス輝石か! と思った(^o^)
透過色がきれい

石英
3.3cm×2.5cm×2.3cm

白っぽくてゴツゴツした形、表面の結晶粒など条件を満たすがなんかしっくりこない・・・と思ったら案の定透過色が黄色なのでほぼ間違いなく石英(泣)

「とろん」というより「さらっ」という質感である。


以上、歩きまわって体中痛いし、SPF50を塗りまくったのに日焼けが痛いし、運転は大変だったし・・・でもヒスイのグリーンの透過光がすべてを忘れさせてくれる。
総じて、満足、満足である。
いい旅だった。
また行くか、は微妙だけどね・・・


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