元々は、メノウ探しから始まったトレジャーハンティングだったのだが、いつの間にかアメジスト探しが中心となっている。
経緯については下記のとおり
No.62 国産鉱物3 宮城県でアメジスト、メノウの産地を発見せよ!
有名な「雨塚山」は地元自治体により立ち入り禁止となっており、近傍のP鉱山、Q鉱山、R鉱山の関係地を探索しようとすると雨塚山の盗掘者と間違われるおそれがあるので近づかないことにしている。
なので、そこから十分な距離を取った、しかし、地質図上連続性のある4つの鉱山跡(S鉱山、T鉱山、U鉱山、V鉱山)の関係地や由来鉱脈・鉱床を主なトレジャーハントのフィールドとしている。
(ちなみにS鉱山は「アイダ鉱(Idaite)」というかなりレアな鉱物を産出するのだが、地味すぎてとても発見できる自信がない。もしかしたら、すでに見逃しているかもしれない。)
もちろん、法務局の支局へ行ったり登記情報提供サービスなどを活用しながら土地の所有者確認をちゃんと行い、私有地の場合には勝手に採集をしないことが大切。
だが、奥山に分け入った鉱山跡にごく近い沢ならば、鉱床や脈から鉱石が沢へ落ちてきているし、
こんな感じで崖上の坑口からズリが沢へこぼれているケースも多い。
供給地に近ければ近いほど沢から拾い上げた鉱物も川ずれの少ない良質な標本となる。
宮城県で地主にお断りして採集させてもらったのはこれまで1~2回しかなく、たいていはこうした川や沢で「こぼれ物」を探すのである。
転石のまま美しさを見出すこともあれば、割って晶洞や結晶面をコレクションすることもある。
例えば、分かりにくいが、川の上流は画面左奥へ続いている。
一方、画面右の壁面の濡れた部分は一年の大部分はただの崖で大雨の時だけ水が流れる、いわゆる「枯れ沢」。
こんな普通は登れない急な沢でも、鉱物を供給している痕跡が見つかれば、巻きながら(=迂回しながら)そして、下りるルートも考えながら遡上するので、体力のみならず安全確保のために頭もフル回転させなければならないのだ。
この川探検、アメリカではとても多くの愛好家のいるレジャーで、「Boulders(ボルダーズ)」と呼ばれる転石専門のトレジャーハンターがいるぐらい。
重要なのは、ただなんとなく河原で石ころを拾うのではなく、地質図や鉱山の産出鉱物情報を元に、鉱床や鉱脈の流れや位置を現況地形と照らし合わせながら、山に入り込んで川や沢を探検するということ。
頭を使うことで、狙った鉱物に出会える確率が一気に跳ね上がるのだ。まさにハンティング、である。
もっともボルダーズも、toskaniniのように崖地をハンマーやタガネで掘る重労働を自然という他者にお任せしたいだけの怠け者かもしれないのだが(笑)
鉱山跡の直下の沢に転がっていた大きな転石だったのだが、外から見て紫色の太い石英の脈が縦横に走っていたので割る前から期待度が高く、慎重にタガネを使って少しづつ割っていったら・・・中に予想通りの紫の結晶が入っていた。
やや照りが弱いがすみれ色の百花繚乱といった様相でお気に入りの標本である。
色的にはエヴァの初号機?・・・
柱面が発達しない錐面のみの結晶なのがS鉱山とT鉱山の水晶の形状的特長である。
こちらは色が淡い桜色で抜群に照りが良い。
「桜」ということは、エヴァ8号機ね(^^♪
既出で恐縮だが、鉱山地帯よりやや下流側の支川にて採集した濃い紫のメノウ2選。
紫好きにはたまらない感じかと(笑)
縞模様が確認できるのでカルセドニーではなくアゲートと呼んで差し支えないと思う。綺麗だけどアメシストの採集標本じゃない。
ただ、結晶構造はむしろ石英に近いのでは・・・というのもまったく蛍光しないのだ。各地で拾った手持ちの玉髄はほぼ例外なく蛍光するので、この産地だけなぜ?、と思う。
V鉱山の関係地から採集した黄鉄鉱。
通称「太陽」である。(なぜ?)
部分的に黄銅鉱の三角形の結晶と共生している。
黄鉄鉱はありふれた鉱物で、金銀鉱石を探すハンターからは「愚者の金」と呼ばれ見向きもされないかわいそうな存在である。
どうせなら、本物の金塊に近い見た目で、とずっと探し続けて見つけたこの標本。肌目が適度な川ずれで金のナゲットの質感に近いと思う(要拡大!)がどうだろうか。お気にいりである。
太陽あるところ「月」あり(笑)。
ということで「金もどき」と対で鑑賞している「銀もどき」である。
これはS鉱山の関係地から採集した方鉛鉱。やや青みがかった銀色の金属光沢である。実物はもっとギラギラなのだがうまく写せない(泣)
T鉱山の関係地から採集した淡い紫水晶(アメジスト)の晶洞内に共生した方解石(カルサイト)。
少し黄色がかった方解石の立方体状の結晶が綺麗である。
ちなみに、この方解石は紫外線照射で白色に強く蛍光する。
福島県のX鉱山の方解石は丸粒状か層状の結晶が多く蛍光色も赤系・白系の別があるが、宮城県のS、T鉱山の方解石は立方体状結晶で蛍光色は白色のみである。
これもT鉱山の関係地から採集した淡い紫水晶(アメジスト)の晶洞。
ようやくたどり着いた崖地には穴があいていて、中は結晶でキラキラ・・・みたいな大自然をテーマにしたジオラマ感がある。
こういうタイプの石ころ、好きである。
T鉱山の関係地から採集した転石のままの透明~白色半透明の水晶ジオードである。
名前が付いていて「ホワイトスター」である。(なぜ?)
結晶面が窪みにあったがゆえ川ずれから守られて無傷。この標本のように川ずれで滑らかな外観の一部が光り輝くというのが転石の醍醐味である。
「ホワイトスター」と対で鑑賞するのは、通称「ブラックスター」である。こちらも転石のまま。
滑らかな肌に穿たれた窪みには・・・煙水晶(スモーキークオーツ)のマイクロジオードが全部で7~8か所ほどミッチリと詰まっている。まるでこの世の光を吸い込む暗黒空間のようである。
掌で転がしながら愛でる「白」と「黒」の塊。
まるで、FF7の白マテリア(ホーリー)と黒マテリア(メテオ)である。
T鉱山の関係地から採集したメノウ。
サイズが丁度良く、色も見ていて落ち着く。
ベージュの地に玉髄混じり、その奥はブルーグレー地にイエローのライン。川ずれのおかげで尖った部分がまったくなく、手触りも良い。
掌のうえで握ったり、転がしたり、傾けたり、さすったり・・・癒されるのである。
もひとつT鉱山の関係地から採集したメノウ。
色がアーシーで柔らかい。トップ部分は水晶のクラスターなのがちょっと可愛い。
こちらも癒し系。
転石を割って、ほぼ完全な形の晶洞が得られたもの。
キレイな六角柱の結晶や針状の結晶まで残すことができている。
S、T鉱山産の水晶は錐面のみが発達した結晶がほとんど。
一方、距離がさほど離れていないのに、V鉱山からは柱面が発達した六角柱の結晶と針状結晶が産出する。
不思議である。
同じくV鉱山の関係地から採集した水晶のジオード。
こちらは同じ六角柱状でも、さらに柱面が発達して細長い結晶に成長している。
FFの武器、クリスタルソード~とか、エクスカリバー~とか、つい叫びたくなってしまう(笑)
以上、宮城県産の紫コレクションズ。
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