先週、大き目の標本をゲット。横幅20cmぐらいの。
片手で持てないほどの標本は久しく持ち帰ってなかったと思う。
凝灰岩の窪みに、透明度の高い結晶がミッチリと張り付いていて、超絶キラキラするので机上の置物に良いかと。
帰りのリュックが重かった・・・こっ腰が・・・
で、最初は、てっきり水晶だと思ったのだが、洗ってルーペで良く観察したら明らかに結晶の形と劈開面の様子が水晶とは異なっている・・・
愛用の鉱物鑑定図鑑でいろいろ調べてみたのと、当地に関する学術誌の記述から「沸石」のクラスター(群晶)であることが判明した。
「(前略)・・・扁桃状の空隙内には白色の泡沸石及び石英が晶簇を爲せるもの屡々ありて、泡沸石には輝沸石最も多く、又束沸石、曹達沸石も往々にして之を発見す。『〇〇(地名)の泡沸石』と鑛物學者らに広く知られ居るものは即ち是れなり。・・・(以下略)」
(「地質學雜誌 第△△號」より)
との論文の記述がある。
ただし、輝沸石だけなのか、あるいは一部は方沸石(24面体結晶構造)との共存なのかの断定までは至らなかった。
最近、現地の古老の幾人かと話をする機会があったが、わずかに
「昔、近ぐさ鉱山あって銅どが採れだんだけど、場所はわがんねない」
「昔、戦前は川で火打石しょってだ(拾っていた)人いだって聞いだごどあんない」
・・・といった話がなんとかお一人から聞けたぐらいなので、もう地元からさえも、このエリアがかつて金、銀、銅、鉄を産出するいくつもの鉱山がひしめく一大鉱産地であったことが忘れ去られそうだ、と寂しい気がした。
記録によれば、この山あいにも鉱山最盛期には鉱夫が沢山住んでいて小学校や、なんと映画館まであったという。
もしかして、地元の人にとっては水晶やメノウなんてありふれていて興味がないのかと思ったが、toskaniniが拾った大きめの白メノウを二つほど差し上げたら、「これはキレイな石だない、テレビの脇に飾っかんない」、と喜んでくれて、代わりにと直売所出荷用の野菜をいただいたので、地元でそういう鉱物が採れるという情報が消えつつあるんだと思った次第。
実際、上流の鉱山跡の影響か魚影がまったく確認できず、田畑もすでにないので灌漑としての利用もない。
「地元で川に行ぐ人なんて一人もいねぇ。用事ねぇがら。」とのこと。
どうりで、メノウも石英・水晶も手付かずでゴロゴロしてるわけだ。納得である。
明治のころには「広く鉱物学者に知られ」ていても、
令和の今では、人々の記憶から消え去ろうとしている
・・・なんというか一寸センチメンタルな気分。
しかし、初めて見たけど、綺麗なんだね沸石って・・・屈折率が高いのではなく表面のテリがキラキラ感を稼いでいるような感じ。
それと紫水晶の供給ポイントに近づいているからだろう。あまり川ずれしていないクラスター崩れがぽつぽつ拾えるようになってきた。
紫石英は至るところに落ちているのだが、結晶化しているアメシストは稀にしか採集できない。その意味ではやはり上流域によりチャンスがあるということか。
供給ポイントまで、あと一息か。
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