2020年5月5日

No.68 国産鉱物9 福島県のX鉱山産の紫コレクション

ステイホームのGWに標本の整理をした。
福島県のX鉱山跡から採集したアメジスト、銀黒、蛍光鉱物などである。
X鉱山跡の探索経緯についてはこちらから。

「No.61 国産鉱物2 福島県の失われた鉱山跡を発見しアメジストをゲットせよ!」
アメシストが採集できる鉱山跡は今や貴重。そんな場所の探索記録である。

「藤と桜」
いや、「エヴァ初号機と8号機」だな(笑)



アメジストのうち一番のお気に入り。太めの石英脈にアメジストが結晶化。手の平サイズで母岩とのバランスも良い。
全体が石英質の石の一部が結晶化する標本は多いが、これはただの石ころの中に唐突に表れる石英そして紫の水晶。
静と動しかり。
晴と雨しかり。
月と太陽しかり。
ザラザラな母岩と照りのある結晶。
アースカラーとビビッドカラー。
そのコントラストに神だけが意図した自然の造形美を感じる。


一番のお気に入りその2(甲乙付け難し)。
紫のうち青成分が少なく、どちらかと言うと赤紫。さらにそれがとても淡いのでぱっと見て和テイストな「桜色」のアメジスト。シェリーピンクと言ってもいいのかも。
この石も大きさが手の平サイズでズシリな重さが掌に超心地良い。

 
これはアメジストとは呼べず、紫色の石英に過ぎないのだが、青と紫と緑の3色が和紙に淡く滲むようでなんとも風雅な一石である。


脈状に入ったアメジストのクラスター。
色がしっかりめの紫である。一つ一つの結晶が根元まで紫に染まって綺麗。


X鉱山の標本中で最も色が濃いアメジスト。
母岩の底が平らで「岩山にぽっかりと開いた晶洞」のようなジオラマ感たっぷりの石である。
toskaniniはこういう大き目の母岩付きの鉱物が最も好きなタイプ。
入口こそ狭いが、中はそこからぐわっと大きな晶洞になっており、入口をあと少し広げられれば内部の結晶がもっと良く鑑賞できるのだが、壊してしまいそうで・・・
晶洞内には柱面短めだが照りと色の良い紫水晶のクラスターがミッチリ・キラキラしている。



デジカメは相対的に紫色の再現が苦手と言われているからなのか、微妙な淡いパープルがうまく写っていないが、一応アメジストである。
頭が欠けている部分が少々残念だが、透明度も高く結晶そのものの美しさを十分に堪能できる。


崖の中ほどにふいに出現した淡い紫色の晶洞。こういうジオラマ感がいい。

小さいが透明度の高いクリスタルの結晶。ミクロな宇宙を観察する愉しみに溢れている。

さて、X鉱山は銀の産出で有名なので、本来なら銀鉱石が第一級のトレジャーとなる。

だが、明治はじめに近代的鉱法が導入されて以降は、明らかに品位の低そうな鉱石まで丁寧に選鉱場でより分けて製錬場に送られた(途中からは売鉱された)とのこと。

さらに、周囲に捨てられていた江戸時代の廃鉱石までもう一度製錬することで銀の産出量を飛躍的に伸ばしたと伝わっている。

なので・・・
「ズリに銀黒は無い」
と承知はしているのだが、どうしても一発狙いを止められないのである・・・
結局、気合を入れたり、狙ってゲットしたわけではなく、何気に大きなズリ石を割ったら中に・・・超ラッキーである(笑)。

高倍率の実体顕微鏡等ではっきりと銀鉱物や金と銀との合金であるエレクトラムを確認したわけではないが、地元の資料館に展示してある輝銀鉱とほとんど同じ母岩、黒筋の入り方であることに加え、一部に銀灰色っぽい箔状鉱物が25倍ルーペで確認できるので、まず間違いなく銀鉱物だと素人鑑定ながら勝手にそう決めつけている(笑)
パターン青!(笑)、じゃなくて「銀産出鉱山のズリ、石英母岩中の黒筋、黄銅鉱や黄鉄鉱や方鉛鉱との共生」という王道パターンにも合致。
標本は大きさが手の平大でズシリとした重さ、粒状の黄銅鉱が金粉を散らしたようにも見え、見た目も豪華な最もお気に入りの銀鉱石(多分)である。

含マンガン方解石(カルサイト)である。
照射は長波紫外線で、UV-A365nm。
X鉱山では、弱いピンクの蛍光(含む微マンガン?)、写真のような強烈な赤オレンジ寄りの蛍光(含む濃マンガン?)、白い蛍光(マンガン含まず)、蛍光なしの4種類の方解石が産出するのだがこの4種類は見た目では区別が付かず、紫外線を当てるまで判別できない。

写真でも、昼光下(上の写真)だと標本の最下部に横たわる1本の方解石の筋に特に変わった点は見えないが、紫外線を当てると(下の写真)、左側部分は青白く、中央部は蛍光せず、右側部分は赤く蛍光しているのが見て取れる。

また、いずれも長石や石英の塊に混じって産出することから見逃されやすい。
強烈に蛍光する個体は比較的結晶部分に多いように思う。

方解石の結晶タイプだとこんな感じ。一つ目の標本より蛍光はやや弱い。色も微妙に違う。

それでもこの二つの標本は手持ちの中で最も強く蛍光する部類。いずれも強烈な蛍光である。
手持ちのスターリングヒル鉱山産の蛍光カルサイトと同等かそれ以上。
国産の蛍光鉱物では一番のお気に入りである。


 
黄鉄鉱。X鉱山の黄鉄鉱は結晶の大きいものはほとんどなく、数mmの小さな結晶かこうした箔状のものが多いようである。金箔のように見えて美しい。べっ甲状の閃亜鉛鉱と共生している。

こちらは菱沸石ではないかと・・・。白く蛍光する。水晶のミニクラスターと共生。ひし形の白い結晶がピラミッド状に積みあがっている。

 
謎の鉱物(笑)。水晶のクラスターがありそうだとアタリをつけてズリをパッカーンと割ってみたら・・・
んっ・・・泥でも入ってたか?と爪で取ろうとしたら結晶鉱物だと気付き慌てて手を引っ込めた(笑)
水晶のクラスター上に茶色の粒状の鉱物。おそらく閃亜鉛鉱ではないかと。
しかし、図鑑などで調べたがこれだ!との確信までは至らず・・・これ以上深く突っ込まないこととしよう。


 
(既出その1)小さめの石ながら、色合い、結晶の形とも申し分ないアメジスト。


(既出その2)雨塚山産のアメジストに似ていると個人的に悦に入っている。このまま分離結晶を取り出して大きさを5倍ぐらいにしたら雨塚山産と勝負できるのではないかと思う・・・のだが、大きさを5倍する時点でまるっきり勝ててないことに毎度気付く(笑)

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