福島県伊達市の縄文時代中期の集落跡「S・D遺跡」にて、小学生の頃(今からざっと40年以上前となりますかな、ふむ・・)よく、石器・土器拾いを行っていた。
ちなみにこの集落跡は、町教育委員会によって遺跡調査事業が昭和50年度に終了し、その後、調査報告書がまとめられている。
当時の現況は畑となっていて(なんと、令和の現在も耕作中)、栽培中の作物を荒らさなければと、勝手に入り込んで石ころを拾う小学生のたわいない遊びに当時の大人はみんな寛容だった。
畑の所有者は、祖父や父と同じ町内会に属する顔なじみの方であり、時には「孫っこに持ってきたぞい、矢じりとか好きみたいだから」と耕運機で耕した後に地表に出てきた縄目の付いた土器欠や矢じり、打製石器片などを頂いたこともある。
そんなこんなで、頻度はまちまちだが、大学生のころもたまに拾い集め、就職してからも数年に一度ぐらいの頻度で畑にお邪魔し(さすがにお菓子を持参して許可を得て畑に入らせてもらっている、いい大人になった今はね)コレクションは結構な量となり、分類が一部分しか終わってないのだが、それら遺物の中でも特別にスペシャルな一品がこれである。
矢じり(石鏃)
全長:23mm 全幅:20mm 厚み:7mm
素材:二酸化ケイ素 SiO₂
「石英」は二酸化ケイ素の鉱物名、「水晶」は二酸化ケイ素の宝石名、と言われるが、よりわかりやすく違いを言えば、「石英」の中でも繊維質ではなく不純物やヒビなく透明度の高く美しいものを特別に「水晶」と称する、ってことである。
実は、矢じりや石器拾いを長い間続けると、石英製のものはけっこう見つかるのだがこれほど宝石質で美しいものは何十年かけてたったこの一つだけ。
甲府産の水晶のような透明さは無いけれど、半透明でムーンストーンのようなシラー効果(表面反射じゃなく内部がボワーっと幻想的に光る)を備える。
特別、格別な美しさを誇る、まさに至高の美術品だと思う。
よく、漫画やアニメで聖なる剣が光を放ちながら魔物を切り倒す場面描写があるが、あれのリアル版、リアルアイテムがこれである。太陽光下で内部からボワーっと白色の光(オーラ)に包まれたように矢じり全体が見えるのはマジで衝撃的!!!
また、先端の欠けは、実際に獣を倒した証でもある。
そんなストーリー性も古代のロマンを掻き立てる。
素材としての石英・水晶の硬度は(最もメジャーな材料である黒曜石なども同様で)、モース硬度7で全鉱物中まあまあ硬い部類に入る。
しかし、硬い一方で靭性(材料が破壊に至る前にどれだけのエネルギーを吸収できるかを示す「粘り強さ」の性質)はそれほど高くない。
要は、切り裂き等のすり減りには強いが、打突等の衝撃には弱く欠けやすいのだ。
石英・水晶製の矢が獣を屠ったとき、背骨や肋骨等を直撃してしまい矢じりの先端部が欠けることは良くあったらしく、実際に先端が欠けた矢じり類の出土はけっこう多い。
狩猟時代のシャーマニズムやアニミズム下で闇とともに恐れられたのは人間より体躯の大きな獣たちであった。
他の素材と明らかに異なり、燦然ときらめく水晶製のアイテムは、魔を滅する「破魔」の力を宿す特別な信仰の対象となり、族長や最も優れた戦士しか扱いを許されなかったという。
まぶたを閉じれば、集落一の勇者が大型の獣と対峙し、この水晶製の矢を放って見事に打ち倒す光景が目に浮かぶのである。
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No.3 自然が生んだ超レアアイテム「香木」
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名作椅子 革靴 鞄
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要は、切り裂き等のすり減りには強いが、打突等の衝撃には弱く欠けやすいのだ。
石英・水晶製の矢が獣を屠ったとき、背骨や肋骨等を直撃してしまい矢じりの先端部が欠けることは良くあったらしく、実際に先端が欠けた矢じり類の出土はけっこう多い。
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